20回「昆布」 20141122日 会場:日本橋社会教育会館

 

学習テーマは「昆布」。日本料理を支える「だし」をとるのに欠かせない食材です。今回は昆布の産地と日本各地に広がる昆布食に注目しました。

天然昆布の分布は北海道、青森、岩手、宮城に限られていて、9割以上は北海道です。それなのに、なぜ日本各地、南は沖縄まで昆布を食べるようになったのでしょうか。

理由は船を使った交易・移動にあります。なんと古くは平安時代から北海道から京都に運ばれていたという記録があるのだとか。室町時代には日本海航路で敦賀(福井県)経由で京都へ、江戸時代には大きな商船・北前船によって大量に大阪に入るようになりました。琉球王国(沖縄県)を経由して、中国へも輸出されていたほどです。北陸や京都、大阪、沖縄で昆布を料理にたくさん使うのはこの船の寄港地だったからなのです。

食材は「その土地固有のもの」ではありますが、じつは人とともに移動もしていて、あらたな食文化も生まれているのです。

昆布の話の後には、「きき昆布だし」も行いました。

羅臼昆布、利尻昆布、日高昆布、真昆布、松前昆布の5種類を同じ条件で水に浸し、だし汁をブラインドで飲み比べました。

同時に比べると違いがあることが分かり、好みも分かれて面白い試みでした。

調理した魚はイナダとアジ。

イナダはブリの小さいときの呼び名(関東地方)。出世魚なので、サイズがかわるごとに呼び名も異なり、ブリの手前の大きさのものをイナダと呼びます。    

アジは全員一人一尾ずつ刺身におろしました。

アジくらいの大きさは扱いやすいので、皆手際よく三枚におろし、皮と骨を取って細く切り、たっぷりの薬味であえて食べました。

煮干だしで炊いたかやくご飯、焼き牡蠣のとろろ昆布汁を添えていただきました。

 

(レポート:岡村)